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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

ドン・ボスコ、ついて行きます!


四日市サレジオ志願院(三重県四日市市)

 四日市はその昔から東海道の宿場町として発展してきました。旧東海道の史跡が現在も多く残っています。四日市から京都寄りの次の宿・石薬師に向かう中間点付近には、「日永の追分」と呼ばれる東海道と伊勢街道の分岐点があります。かつて草津・京都へ向かう旅人はここから右へ進み、伊勢神宮へお参りする人は左へと巡礼の旅を続けました。その追分のすぐそばに四日市サレジオ志願院はあります。
 サレジオ会員が四日市にやってきたのは今から17年前の1995年。野球やサッカー、フェンシングなどで知られる海星中学高等学校の母体であるエスコラピオス会の修道院を間借りしてジュニア志願院を開設。5名の志願生で始まった志願院は2006年には25名を数え、多くの方々の寛大な協力により翌年には高校棟が新しく建ちました。2011年度は19名の中高生が共に生活しています。

親元を離れ、自分と向き合う


 「志願生」(小神学生)と呼ばれるこれらの中高生は、将来サレジオ会の司祭(神父)もしくは修道士になることを望み、サレジオ会の修道院で共同生活をしています。中高生の段階でそのように決意し、親元を離れて生活するのは早すぎるのではないかと思われるかもしれません。しかし、神の呼びかけに年齢の制限はありませんから、青少年の段階でもその呼びかけを感じ、応えることは可能です。ただし、容易な決断ではありませんので、その気持ちをより深く見つめ成熟させるための手助けをするのが志願院です。自分の将来についての決断を先延ばしにすることなく、人生について真剣に考える環境を提供し、人とぶつかりあって自己を形成する機会に乏しい現代において、共同生活の体験は子どもたちを成長させます。

教会・学校・運動場・家庭


 志願院の生活は、ドン・ボスコが始めたオラトリオ(祈りの家、寄宿学校)の4つの要素を今もよく受け継いでいます。まず「教会」。すなわち、祈りの生活です。司祭・修道者をめざす者の生活は、キリストとの関わりなしには成り立ちません。ものすごくたくさんの祈りの時間があるわけではありませんが、若者らしく元気よく祈り、日々の出来事を祈りにつなげるように指導しています。
 次に「学校」です。勉学を大事にします。この世界の成り立ち、人々の思想・理想など、様々なことを学ぶことは大切です。そして、得た知識が自己のためだけで終わらぬよう、いつも勉強前に次のように祈り求めます。「私たちが真の知恵を求め、それを人々に分かつことができるよう私たちの心を清めてください。」
 「運動場」という要素もあります。体を動かして遊ぶことです。ほぼ毎日、サッカーかバスケットをしています。夏にはソフトボールもしますし、海や川で泳ぐこともしばしばです。スポーツのない志願院は考えられません。若者のもっているたくさんのエネルギーが弾けます。元気で健康な体づくりと同時に、互いにぶつかりながらチームワークも身につけるでしょう。
 もう一つは「家庭」です。志願院は「わが家」を感じることのできる場所づくりを心がけています。くつろぎ、和んだ雰囲気を味わうと同時に、一人ひとりが責任感をもって役割を担い協力する一つの家をつくっています。同じ釜の飯を食った仲間は時として兄弟以上の絆を結ぶこともあるかもしれません。

くじけない喜びの精神を培う


 志願院全体は明るい雰囲気に包まれています。若者らしい陽気さ、賑やかさにあふれています。「聖なる快活さのうちに主に仕えよう」とドン・ボスコは言いました。心から喜んで自分をキリストにささげる生き方というのは、何もそんなに難しいことではないのかもしれません。ドン・ボスコはすべての青少年にそのように望んでいました。ドン・ボスコがもっていた、困難に出会ってもくじけない喜びの精神を培っていきたいものです。
(文・写真/右四日市サレジオ志願院提供)

四日市サレジオ志願院

三重県四日市市追分1-8-26
http://www.donboscojp.org/sdbyokkaichi/
ブログ http://sdbyokkaichiasp.blog114.fc2.com/
(ドン・ボスコの風No.8 2012年1月掲載)